うちゅうのくじら

そりゃあもういいひだったよ

べすてぃばぶ論争

むしょくの子育て事情

ここ一ヶ月、息子が高熱を出すことが多くなった。

今週は4日ほど39度前後の熱が続いている。

私は離婚しているが、子育ては手伝っていて、週に1~2度は会いに行く。

むしょくになってからは会う頻度が増えた。特に元妻も仕事を続けて休みにくいため、体調不良の場合は看病しにいく。こういうときのためのむしょくである。

今週は2日ほど泊まり込み、いったん帰って、昨日また日帰りで看病しに行った。熱はあるが、割と機嫌は良いのが救いである。

今回の熱の原因は溶連菌であったが、抗生剤を飲み切っても下がらないため、症状から見ると風邪か胃腸炎のような気がする。今日また元妻の代わりに病院に連れていく。

息子との関係性

彼は今現在4歳であるが、おそらく物心ついたころにはすでに私たちは離婚していたため、「おとうさんは、おうちの外からやってくるもの」という認識でいる。

最初のころは、帰るたびに泣かれて、大変心苦しかった。そのうち彼の中で「泣こうが喚こうが最終的にお父さんはいなくなる」という学習が進んだのだろう、泣くことはなくなったが私のメガネを隠したり、ギリギリまで遊びをねだったりと「できるだけ帰さない作戦」をすることが多くなった。

私の両親も離婚しているため、父親がいない子供の気持ちは痛いくらいわかる。わかるけれど、どうしようもないことがこの世の中にはたくさんある。が、子供にはそんな理屈は通用しないし、そもそも関係ないことだ。だからできるだけ一緒にいるようにしている。「おとうさんといっしょがいい」と言ってくれる間は、できるだけ一緒にいたい。メガネ隠し遊びのときのメガネの扱いが少々乱暴で、壊れるたびに修理か買いなおすことになるくらいだ。

むしょくになってからは、息子といれる時間も増えたので、これも何かの縁なのだと思い、できるだけ一緒にいて、彼と時間と感情と体験を共有したい。彼が大きくなった時に、少しでも良い記憶になって、生きていく糧のひとつにでもなればいいなあと願う。それに別れ際、彼を抱きしめたときの温かさが、私の生きていく上での糧でもあるのだ。

うんちふみふみフェステイバル

看病中、熱はある割に機嫌がよいのだが、やはりしんどさはあるのか、体を動かす遊びより、テレビを見たいということが多い。今の時代の子供にとって、テレビ=YOUTUBEなのである。普段は元妻の指示により、一度に15分以上みせないことにしており、その時はもうそろそろ15分に差し掛かるところだった。しかしあまりにも息子が熱望するので「熱あるし特別だ」ということで、一緒に観ていたところ「うんちふみふみフェステイバル」という動画に息子が食いついた。

今息子の中で激熱なのが「うんち」「おなら」「おしっこ」「ちんちん」であり、それらは、ほとんどの男子における登竜門でもある。

外でもテンションが上がると「うんち!おなら爆弾!うんち攻撃ぶりっ!おしっこジャー!」などと言うことがあるので、彼のうんち欲をあまり刺激的するようなものはみせないように元嫁から言われているが、「ちょっとくらい熱あるし観せてあげよう」と思いつつ、「一体どんなフェスティバルなんだろう」という好奇心も手伝って再生してみた。

アバンギャルドなうんち系動画

ゆるいタッチのキャラがうんちを踏みながら「うんちふみふみフェステイバル~♪」と歌っている。割に再生回数もまわってるし、やはりこういうのが好きな男の子は多いのだろう。

しかし、これが息子の心に刺さったのか、ひとしきり大爆笑した後、動画と一緒に大合唱しはじめた。

「あ、これはやばい」と思った私がほかの動画に変えようとすると、泣きながら怒るのだ。もはや後の祭である。

そうこうしている間に、そのフレーズが刷り込まれてしまったのか、観終わった後も口ずさむという最悪の事態となった。何が最悪かと言うと、私が元妻に怒られるのだ。ことうんち教育について彼女は厳しい。それにしても、私は離婚してからもなぜかよく怒られる。もはやどっちが子供かわからない。

まあそれは置いとくとして、息子が口ずさむのを聞いていると「うんちふみふみ」までは、はっきり発音している。普段から口にしまくっているから当然だ。

ところが、「フェスティバル」はおそらく彼のボキャブラリーにまだない単語なのだろう。うまく発音できておらず、文字にするなら「べっすてぃばぶ」という感じである。

「うんちふみふみ~べっすてぃばぶぅ~♪」と歌っているので「うんちふみふみ~フェスティバル~♪」とさりげなく修正しようとすると「ちがうよ!べっすてぃばぶぅ~♪だよ」と逆にこちらが修正された。

べすてぃばぶ論争

何度かフェスティバルであることを伝えようとしたが、彼はかたくなに「べっすてぃばぶ!」と主張するため、そのうち私の脳内でも「フェスティバル」という単語の認知が崩壊し、そのがれきの下から新たに「べっすてぃばぶ」という言葉が誕生しようとしていた。なんか響きがかわいいではないか。

そうしてふたりで「うんちふみふみ~べっすてぃばぶぅ~♪」と合唱しながら踊った。

「うんちふみふみ」は床でうんちをふみつける動きをし、「べっすてぃばぶ~」はフリーパートで思い思いの振り付けをする。

私はサザエさんのOPにあった「タマダンス」のように腰をくねくねさせた。息子がケラケラ笑うのでつい調子にのり、腰が痛くなるまで踊りまくった。

そうこうしているうちに元妻が仕事から帰宅し、それを察知した息子は「うんちふみふみ~べっすてぃばぶぅ~♪」と大声で歌いながら玄関に走っていった。

その息子の後姿を見ながら、「ああ終わったな」と思い、覚悟を決めるために息を整えた。

しかし、元妻も「高熱の息子を看病してもらった」という引け目もあるのか、「ごはん買ってきたよ~」と穏やかな様子。意外と怒られずに済み、私は安堵の息をもらした。



さて、次の日には息子があのフレーズを忘れていてほしいと願いながら、これを書いているがおそらく無駄であろう。かくいう私も気付けば「べっすてぃばぶ~♪」と口ずさんでしまている。もう完全に脳内に刷り込まれてしまい、オートリピートされている。しばらく解除できないだろう。

気になる人はYOUTUBEで検索してみてたらどうだろう。ただし責任はとれない。