うちゅうのくじら

そりゃあもういいひだったよ

なんとなく、山へ

f:id:Perosuke:20231226192713j:image

しばらく山で過ごすことにした。テントを張って寝泊まりするのだ。できれば大みそかくらいまでいたい。

都会で過ごしていると、時々山に篭りたくなる。

そんな風に思い立ち、荷物を詰めて電車に乗った。

向かう先は母の生まれた村の山である。

f:id:Perosuke:20231226175920j:image

山と言っても母の生まれた村にある山の中腹にある小さな土地で、元々祖母の畑だったところだ。

祖父母はもう他界しているので、長い間そこは荒地になっていた。

何度か祖母について行ったことはある。栗を拾ったり、みかんを取った記憶がうっすらと残っている。

f:id:Perosuke:20231226113636j:image

20年以上放置されていた土地に再び足を踏み入れた時の写真である。この時も年末だった。 

ふもとの村から30分程度山道を登り、途中獣道をかき分けていく必要があった。祖母はほぼ毎日、この道を何往復もしていた。そんな場所である。

f:id:Perosuke:20231226114430j:image

その日はキャンプごっこをして帰ってきたが、それ以来、頭のどこかでこの場所のことが残り続けていた。

 

息子が生まれてからは、この子が大きくなったらここで自然と触れ合えたらいいなあという思いがむくむくと湧き出てきた。整えられた綺麗な自然ではなく、できるだけありのままの姿が良い。自然は美しさだけでなく、時に傲然とした威圧感があり、山にいるものに覚悟を迫ることがある。自分よりも遥かに大きなものを畏怖するということを教えてくれる。特に夜の山は昼のそれと全然違う。そんな自然の中にいると、人間は謙虚にならざるを得ない。

そんな場所に身を置くことで、何かを感じてくれたいいなと思っている。子供のアンテナは鋭く、頭は柔らかい。色んな場所で色んなことを感じて考えてほしい。まあ、まだ4歳なのでまだ先の話なのだが。

f:id:Perosuke:20231226192034j:image

そんな想いを抱きつつ、ノコギリとオノを手に数年かけて整地してきた場所である。

f:id:Perosuke:20231226114439j:image

もちろん電気も水道もない。人もめったにやってこない。しかし、携帯の電波はかろうじて届く。これは息子を連れて行く時の絶対条件で、電波が届かないと何かあった時に助けを呼べないからである。

f:id:Perosuke:20231226180058j:image

そんな感じで手を入れた土地に泊まるのは、実は今回で2度目である。1度目は勢いで行けたが、2度目である今回は割とドキドキしている。

 

1度目の山籠りの写真。この時は働いていたので1泊だけした。

f:id:Perosuke:20231226191846j:image
f:id:Perosuke:20231226191842j:image

そんなわけで、よく山籠りしている風を装っていたが、実はまだ山で寝泊まりする経験は、キャンプ場を除けばそんなにないのである。ドラクエで言うと、アリアハンあたりをうろついているレベルである。ドラゴンボールで言うと、レッドリボン軍と戦いはじめたあたりである。

 

そんなこんなで、文明社会の恩恵を浴び続けている男が明日からその文明と少しだけ距離のある生活に身を置く。

理由は色々ある気もするし、何もない気もする。なんとなく、そうしなければいけないような気がしたからだ。

そう、なんとなくなのである。

もう半ば開き直りつつ、なんとなく生きてみようと思っている。

そういう人生もいいではないか、と思えるようになってきた。