うちゅうのくじら

そりゃあもういいひだったよ

おとうさんの手料理


男女が分け隔てなく家事をする世の中になって久しいが、私にとっておとうさんが作る料理というのは何かしら特別なものがあった。

私が父の料理でまだ覚えているのは広島焼とやきそばだ。

どちらもたっぷりとソースがからまっていて、濃厚で、普段口にすることがあまりなかったものだった。

おとうさんの料理というのは、どこかジャンキーでB級グルメ感が漂っていて、「ふだんは食べてはいけないもの」という何かしらの危険な香りをはらんでいた。

こっそりふたりで食べている、という妙な背徳感がワクワク感を増幅させていていた。

だから味は忘れても、思い出として、しかるべき脳の領域に残っているのかもしれない。エピソード記憶というやつだ。

 

私には4歳の息子がいるが、息子とふたりでいるときに作る料理は、普段彼が口にしないようなものにしている。インスタントラーメンや、チキン南蛮、そばめし、おとうさんカレー(バターカレー的なの)などを作るが、息子はわりによく食べてくれる。

 

食育に関しては色々な考え方があると思うが、添加物などは日常的に摂取しなければ基本的にはOKと考えている。本当に避けなければいけないもの(発がん性のあるものなど)は避け、あとはバランスよく適量を食べていれば大丈夫であると考えている。

食の基本は適切な栄養摂取であるが、もうひとつ大切なのは、楽しくおいしく食べるということであると思う。

私の料理が、彼の思い出のひとつになれば、これほど嬉しいことはない。